相続の効力等に関する見直し
●相続の効力等の見直しについて(民法第899条の2関係)
2019年7月1日施行
(1)見直しのポイント
相続させる旨の遺言等により承継された相続財産については、登記なくして第三者に対抗することが出来るとしていた現行法を見直して、法定相続分を超える部分の相続財産については、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することが出来ないこととしました。
(2)制度導入のメリット
改正以前は、相続債権者・債権者が相続財産を差し押さえる場合、相続の仕方で登記等の対抗要件の先後・有無など『遺言の有無や内容を知らない』相続債権者等の利益を害するものでした。
例えば、相続人 長男・長女の2名、相続債権者がいる場合
被相続人が、遺言(相続させる旨の遺言)で、長男に全ての不動産を相続させた場合、
@の相続の形式 | 遺産分割協議 | 遺贈 | 相続させる旨の遺言 |
---|---|---|---|
@とAの優劣は! | 登記の先後 | 登記の先後 | 常に@が優先される! |
上記、@の長男の法定相続分を超える相続分は、相続させる旨の遺言によるものであれば、相続債権者・債権者等に対して登記等の対抗要件がなくてもよいもので、遺言の内容・有無を知り得ない相続債権者・債権者等の利害を害するものであり、登記制度や強制執行制度の信頼を害するおそれがありました。
改正後の規定は、
●相続させる旨の遺言についても、法定相続分を超える部分については、登記等の対抗要件を具備しなければ、第三者に対抗することができない。
としました。さっきの例でいう@Aの優劣は下記の表のようになり、
@の相続の形式 | 遺産分割協議 | 遺贈 | 相続させる旨の遺言 |
---|---|---|---|
@とAの優劣は! | 登記の先後 | 登記の先後 | 登記の先後 |
遺言の有無・内容を知り得ない相続債権者・債権者等の利益や第三者の取引きの安全確保出来るようになりました。
この法律の改正によって、遺言の有無・内容を知らない相続債権者・債権者等第三者も登記等の対抗要件を備えることで、利益を害することもなくなりますね。