行政書士が扱う『国際業務』について
出入国在留管理庁(旧 入国管理局)に提出する申請書にはどういうものがあるのか?
1.在留資格認定証明書交付申請とは、
『在留資格認定証明書』とは、外国人の方が、「短期滞在以外」の在留資格で日本に入国する場合に、日本で行う活動が在留資格に適合するか・どうかを事前(来日前)に審査して、適合すると認めた場合に、法務省出入国在留管理庁(旧 入国管理局)から交付される証明書のことです。
※短期滞在とは、外国人の方が、観光等に代表されますが、短期間日本に在留することです。在留期間は、90日・30日・15日(1〜15日)の3種類があり、就労(報酬を受けて働くこと)は認められていません。
※『在留資格認定証明書』が必要とされる代表的事例
@外国人を採用して、社員として日本の呼び寄せる場合。
A外国人の配偶者・子供を日本に呼び寄せる場合。
B日本の学校に入学する外国人を留学生として受け入れる場合 等々
2.在留資格変更許可申請とは、
出入国管理及び難民認定法(入管法のこと)の第20条(在留資格の変更)で明記されていますが、『1の在留資格認定証明書』と違い、すでに在留資格を持って日本に滞在している外国人の方が対象となります。『在留資格変更許可申請』とは、現在、在留資格を持っている外国人の方が在留目的を変更して、別の在留資格に変更する場合に、法務大臣に対して、新しい在留資格に変更してもらうための手続きのことです。
この許可を得ることで、日本に在留する外国人は、現在持っている在留資格では行うことが出来ない他の在留資格に属する活動を行なおうとする場合でも、日本から出国することなしに別の在留資格に変更することが出来ます。
しかし、在留資格変更許可の申請をすることは、現在持っている在留資格を放棄することを意味しています、在留資格変更許可が『不許可』となった場合には、『在留資格を失う』という危険もあるのです。現在持っている在留資格の期限、在留資格変更許可の審査期間等注意する点がたくさんあります。
3.在留期間更新許可申請とは、
在留期間更新については、出入国管理及び難民認定法(入管法)21条で明記されています。その内容は、在留資格を持っている外国人の方は、原則として持っている在留資格に付与された期間に限って日本に在留することが出来ることになっているので、在留期限がくれば、いったん出国し、改めて査証を取得、入国することになりますが、これは、外国人の方には大きな負担となってしまいます。
そこで、入管法は、法務大臣が日本に在留する外国人の在留を引き続き認めることが適当と判断した場合には、在留期間を更新して、その在留の継続が可能となる手続きを定めたのです。これが、『在留期間更新許可』のことです。
以上、3つの申請が、出入国在留管理庁に申請する主なものになると思います。
これらの申請は、『申請取次行政書士』に依頼することによって、外国人の方本人が入管に出頭することなく申請業務をすることができます。外国人の方は、出頭を免除されるので、仕事や学業に専念することも出来ます。
在留資格とは何?どんな在留資格があるの?
●近年、海外から多くの観光客が日本に訪れるようになりました。そこで、日本を気に入って日本に住みたいなと思う外国の方も増えているようです。しかし、日本に観光にくるように、簡単には日本に住むことはできないのです。日本に住むためには、どのような目的で日本に住むのかを行政に認めてもらって『在留資格』という資格を得なければならないのです。
この『在留資格』と『査証(ビザ)』の違いから説明していきます。
1.査証(ビザ)とは、
外国人が日本に入国するためには、有効な旅券(パスポート)と査証(ビザ)が必要です。ビザ免除国は査証(ビザ)は必要なく有効な旅券(パスポート)だけ大丈夫です。
査証は、外国にある日本の大使館・領事館が発給するもので、旅券
が有効であることを確認してから、その外国人が日本に入国することに支障がないことを推薦するものなのです。日本の大使館・領事館は外務省の管轄です、査証の発給権限は外務省にあるのです。
2.在留資格とは、
在留資格は、大きく分けると『活動に基づく在留資格』と『身分・地位に基づく在留資格』に分けられ、その中には29種類の在留資格があります。
@活動に基づく在留資格
活動に基づく在留資格とは、『外国人が本邦において行うことが認められた活動を行うことによって日本に在留することができる資格』です。その中には、就労が認められる在留資格(活動制限あり)と就労が認められていない在留資格があります。(出入国管理及び難民認定法別表第1に記載)
A身分・地位に基づく在留資格
身分・地位に基づく在留資格とは、『定められた身分・地位を有する者として日本に在留することが認められた資格』です、活動に制限はありません。例えば、日本人と結婚すれば、日本人の配偶者という身分になり、『日本人の配偶者等』という在留資格が与えられるのです。(出入国管理及び難民認定法別表第2に記載)
3.在留資格一覧
在留資格には下記@〜Cの種類があります。
@【就労が認められる在留資格(就労活動の制限がある)】
出入国管理及び難民認定法 別表1の1
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
---|---|---|
外交 | 外国政府の大使、行使等及びその家族 | 外交活動の期間 |
公用 | 外国政府等の公務に従事する者及びその家族 | 5年、3年、1年、3月、30日又は15日 |
教授 | 大学教授等 | 5年、3年、1年又は3月 |
芸術 | 作曲家、画家、作家等 | 5年、3年、1年又は3月 |
宗教 | 外国の宗教団体から派遣される宗教師等 | 5年、3年、1年又は3月 |
報道 | 外国の報道機関の記者、カメラマン等 | 5年、3年、1年又は3月 |
出入国管理及び難民認定法 別表1の2
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
---|---|---|
高度専門職 | ポイント制による高度人材 | 1号は5年、2号は無期限 |
経営・管理 | 企業等の経営者、管理者等 | 5年、3年、1年、4月又は3月 |
法律・会計等 | 弁護士、公認会計士等 | 5年、3年、1年又は3月 |
医療 | 医師、歯科医師、看護師等 | 5年、3年、1年又は3月 |
研究 | 政府関係機関や企業等の研究者 | 5年、3年、1年又は3月 |
教育 | 高等学校、中学校等の語学教師 | 5年、3年、1年又は3月 |
技術・人文知識・国際業務 | 機械工学等技術者、通訳、デザイナー、語学講師等 | 5年、3年、1年又は3月 |
企業内転勤 | 外国の事務所からの転勤者 | 5年、3年、1年又は3月 |
介護 | 介護福祉士 | 5年、3年、1年又は3月 |
興行 | 俳優、歌手、プロスポーツ選手等 | 3年、1年、6月、3月又は15日 |
技能 | 外国料理の調理師、スポーツ指導者等 | 5年、3年、1年又は3月 |
特定技能 | 特定分野に属する技能を要する業務に従事する外国人 |
1号は、1年、6月又は4月 |
技能実習 | 技能実習生 | 法務大臣が個々に指定する(1〜3号で違う) |
A【就労が認められない在留資格】
出入国管理及び難民認定法 別表1の3
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
---|---|---|
文化活動 | 日本文化の研究者 | 5年、1年、6月又は3月 |
短期滞在 | 観光客、会議参加者 | 90日若しくは30日又は15日以内の日を単位とする期間 |
出入国管理及び難民認定法 別表1の4
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
---|---|---|
留学 | 大学、専門学校、日本語学校等の学生 | 4年3月、4年、3年3月、3年、2年3月、2年、1年3月、1年、6月又は3月 |
研修 | 研修生 | 1年、6月又は3月 |
家族滞在 | 就労資格等で在留する外国人の配偶者・子 | 5年、4年3月、4年、3年3月、3年、2年3月、2年、1年3月、1年、6月又は3月 |
B【就労の可否は指定される活動によるもの】
出入国管理及び難民認定法 別表1の5
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
---|---|---|
特定活動 | 外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー | 5年、3年、1年、6月、3月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲) |
C【身分・地位に基づく在留資格(就労活動の制限はない)】
出入国管理及び難民認定法 別紙2
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
---|---|---|
永住者 | 法務大臣が永住を認める者 | 無期限 |
日本人の配偶者等 | 日本人の配偶者、実子、特別養子 | 5年、3年、1年又は6月 |
永住者の配偶者等 | 永住者・特別永住者の配偶者、わが国で出生引続き在留している実子 | 5年、3年、1年又は6月 |
定住者 | 日系3世、外国人配偶者の連れ子等 | 5年、3年、1年、6月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年は超えない範囲) |
※就労活動とは…、報酬を得る活動(仕事)のこと。
4、在留資格と査証(ビザ)の違い
まずは、ビザは、外務省の管轄であり、在留資格は法務省の管轄という違いがあります。
そこには、外務省・法務省の独自の審査基準があるのです。ですから、ここはよく覚えていて欲しいのですが、『ビザがあれば必ず在留資格が与えられるというものものではない』ということです。
在留資格を付与するかを決めるのは法務省の管轄する上陸審査(入国審査)です、ビザはこの入国審査(上陸審査)のために必要な資格です、入国審査の際に与えられるのが『在留資格』であり、この在留資格を得ることで、入国後に適法に滞在することを認められるのです。