一般建設業の許可要件
●建設業許可を取得する要件として
@『経営業務の管理責任者』がいること(建設業法第7条1号)
@建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を備えていること(建設業法第7条1号、建設業法施行規則第7条1号)
A『専任技術者』を営業所ごとに置いていること(建設業法第7条2号)
B誠実性を有していること(建設業法第7条3号)
C財産的基礎又は金銭的信用を有していること(建設業法第7条4号)
D欠格事由に該当しないこと(建設業法第8条各号)
E適切な社会保険に加入していること(建設業法第7条1号、建設業法施行規則第7条2号)
の5項目6項目があります。
5項目6項目の一般建設業における許可要件は次のようになります。
1.経営業務の管理責任者について(通称 経管という)法人においては、その「役員」のうち「常勤」であるものの一人が、個人事業者の場合は、その者又はその支配人のうちの1人が次のいずれかに該当しなければならない(建設業法第7条1号)。(1)許可を受けようとしている建設業に関し、5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有すること(建設業法第7条1号イ)。(2)国土交通大臣が(1)に掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者(建設業法第7条1号ロ)。@許可を受けようとする建設業以外の建設業に関し、6年以上次のいずれかの経験を有していること。・経営業務の管理責任者としての経験・経営業務管理責任者に準じる地位にあって、経営業務の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会又は代表から具体的な権限委譲を受け、かつ、その権限に基づき、執行役員等として建設業の経営業務を総合的に管理した経験。A許可を受けようとする建設業に関し、経営業務管理責任者に準じる地位にあって次のいずれかの経験をゆうしていること。・経営業務の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会又は代表者から具体的な権限委譲を受け、かつ、その権限に基づき、執行役員として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理した経験。・6年以上経営業務を補佐した経験。Bその他、国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者。
1.建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を備えていること(建設業法第7条1号、建設業法施行規則第7条1号)
従来の「経管」に代わるものとして設定されました、緩和されたというのですが、やはり証明するのは大変だと思います、下記の@又はAに該当していることが必要です。
@常勤役員等に一定の経営業務の管理経験等があること(従来の経管に近い感じですね)
許可を受けようとする者の常勤役員等(法人である場合においてはその役員[業務を執行する社員、取締役、執行役員又はこれに準じるもの]のうち常勤であるもの、個人である場合においてはその者又は支配人をいいます。以下同じです)のうち1人が次のいずれかに該当しなければいけません。
条件 | 規定している法 |
---|---|
ア.建設業に関し(許可を受けようとしている建設業以外も可。以下同じ)5年以上の経営業務の管理者としての経験を有する者 | 建設業法施行規則第7条1号イ(1)に該当 |
イ.建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者に準じる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る)として経営業務を管理した経験を有する者 | 建設業法施行規則第7条1号イ(2)に該当 |
ウ.建設業に関し6年以上経営業務の管理者に準じる地位にある者として経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者 | 建設業法施行規則第7条1号イ(3)に該当 |
※「経営業務の管理責任者としての経験」とは、
業務を執行する社員、取締役、執行役若しくは法人格のある各種組合等の理事等、個人の事業主又は支配人その他支店長、営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位にあって、経営業務の執行等建設業の経営について総合的に管理した経験をいいます。単なる連絡所の長又は工事の施工に関する事務所の長のような経験は含まれません。
※「経営業務の管理責任者に準じる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る)として経営業務を管理した経験」とは、
取締役会設置会社において、取締役会の決議により特定の特定の事業部門に関して業務執行権限の委譲を受ける者として選任され、かつ、取締役会によって定められた業務執行方針に従って、代表取締役の指揮及び命令のもとに、具体的な業務執行に専念した経験を指します。
※「経営業務の管理責任者を補助する業務」とは、
経営業務の管理責任者に準じる地位(業務を執行する社員、取締役、執行役若しくは法人格のある各種の組合等の理事等、個人の事業主又は支配人その他支店長、営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位に次ぐ職制上の地位にある者)にあって、建設工事の施工に必要とされる資金の調達、技術者及び技能者の配置、下請け業者との契約の締結等の経営業務全般について、従事した経験をいいます。
※ア及びイの経験を通算して5年以上、又はア、イ並びにウの経験を通算して6年以上ある場合も、要件を満たします。
※「取締役(業務を執行する社員、執行役)に準じる者」、「イの経験」、「ウの経験」や確認書類、「経験機関の通算」については事前に「建設管理課建設担当(埼玉県の場合)」相談する方がいいです。
※確認書類は、「建設業許可申請・届出の手引き(埼玉県・最新版)」のP47〜P53に掲載されています。
A常勤役員等に一定の経験があって、かつ、一定の要件を満たす補佐者を置くこと
常勤役員等のうち1人が次のア又はイに該当する者であって、かつ、次のウ、エ及びオの経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者として置いていることです。
常勤役員等の経験 | 規定している法 |
---|---|
ア.建設業に関し、2年以上の役員等(業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれに準じる者又は相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれに準じる者と同等以上の支配力を有すると認められる者をいう。以下同じ)の経験を含む5年以上の役員等又は役員等に次ぐ職制の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当する者に限る)としての経験を有する者 | 建設業法施行規則第7条1号ロ(1)に該当 |
イ.建設業に関し2年以上の役員等としての経験を含む、5年以上の役員等の経験を有する者 | 建設業法施行規則第7条1号ロ(2)に該当 |
補佐する者の経験 | 規定している法 |
---|---|
ウ.財務管理の業務経験(当該業者における5年以上の建設業の業務経験に限る。以下同じ) | 建設業法施行規則第7条ロ柱書に該当 |
エ.労務管理の業務経験 | |
オ.業務運営の業務経験 |
※「財務管理の業務経験」とは、
建設工事を施工するにあたって必要な資金の調達や施工中の資金繰りの管理、下請け業者への代金の支払いなどを行う部署におけるこれら業務経験をさします。
※「労務管理の業務経験」とは、
社内の工事現場における勤怠の管理や社会保険関係の手続きを行う部署におけるこれらの業務経験をさします。
※「業務運営の業務経験」とは、
会社の経営方針や運営方針を策定、実施する部署におけるこれらの業務経験をさします。
※「直接に補佐する」とは、
常勤役員等(ア又はイに該当する者)との間に他の者を介在させることなく、組織体系上及び実態上当該常勤役員等から直接指揮命令を受け業務を行うこといいます。
※ウ〜オの経験を有するのであれば、補佐者は1名でも問題ありません。
※「役員等に次ぐ職制上の地位」とは、
申請者の社内の組織体系において役員等に次ぐ役職上の地位にある者をさします、必ずしも代表権を有する必要はありません。
※Aの要件を満たそうとする場合は、事前に「建設管理課建設担当(埼玉県の場合)」相談する方がいいです。
※確認書類は、「建設業許可申請・届出の手引き(埼玉県・最新版)」のP53・54に掲載されています。
2.専任技術者について(通称 専技という)
その「営業所ごと」に、次のいずれかに該当する者で専任のものを置く必要があります(建設業法第7条2号)。ここでいう専任とは、その「営業所」に「常勤」して専らその職務に従事することを言います。
(1)許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、高校の所定学科等(旧実業高校を含む)を卒業後5年以上、又は、大学の所定学科(高等専門学校・旧専門学校を含む)を卒業後3年以上「実務経験」を有する者(建設業法第7条2号イ)。
(2)許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し10年以上の「実務経験」を有する者(学歴・資格を問わない)(建設業法第72号ロ)。
(3)?・?と同等又はそれ以上の知識・技術・技能を有すると認められた者。
@指定学科に関し、旧実業学校卒業程度検定に合格後5年以上・旧専門学校卒業程度検定に合格後3年以上の「実務経験」を有する者。
A「資格」区分に該当する者(国家資格等)。
Bその他、国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者。
3.誠実性について
法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人(支店長・営業所長等)が、個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約に関して「不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者」でないことが必要です(建設業法第7条3号)。
4.財産的基礎又は金銭的信用について
請負契約(軽微な建設工事に係るものを除く)を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないことが必要です(建設業法第7条4号)。
これは、請負契約を履行するに足りる財産的基礎のあること、つまり資金調達能力があることをいいます。具体的には、次の@〜Bのいずれかに該当する場合、原則として基準に適合するものとして扱われます。
@直近の決算において*1自己資本の額が500万円以上であること。
A500万円以上の資金調達能力があること。
B直前5年間許可を受けて継続して営業した実績があり、かつ、現在許可を有していること(更新時の要件)。
*1の自己資本の額とは、直近の貸借対照表の「純資産総額」が500万円以上であることを言います。
5.欠格事項に該当しないこと
建設業法第8条の各号に該当しないことです。
8条には条文と14号の欠格事項が規定されています、まとめると下記の10項目になります。
- 許可申請書又はその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき。
- 法人では、その法人の役員等、政令で定める使用人(支店長・営業所長等)が、個人では、その本人又は支配人が、次の要件に該当しているとき。
- 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの。
- 不正の手段により許可を受けたこと等により、その許可を取り消され、のそ取消しの日から5年を経過しない者。
- 上記に該当するとして聴聞の通知を受けった後、許可を取り消されることを避けるため廃業の届出をした者で、届出の日から5年を経過しない者。
- 建設工事を適正に施行しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、あるいは危害を及ぼすおそれが大であるとき、又は請負契約に関し不誠実な行為をしとこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者。
- 禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることが亡くなった日から5年を経過しない者。
- 建設業法、建築基準法、労働基準法等の建設工事に関する法令のうち政令で定めるもの、若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、又は刑法等の一定の罪を犯し罰金刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者。
- 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者。
- 暴力団員等がその事業活動を支配している者。
6.適切な社会保険に加入していること(建設業法第7条1号、建設業法施行規則第7条2号)
許可を受けようとする者は、適用除外になる場合を除いて、適切な社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)に加入していなければなりません。
@基本的な考え方
ア.健康保険
法人 | 個人 |
---|---|
従業員数にかかわらず、加入が必要。 |
常勤の従業員が5人以上いる場合に限り、加入が必要。 |
法人・個人の共通事項 |
イ.厚生年金保険
法人 | 個人 |
---|---|
従業員数にかかわらず、加入が必要。 |
常勤の従業員が5人以上いる場合に限り、加入が必要。 |
法人・個人共通 |
ウ.雇用保険
次のいずれかにも該当する労働者が1人以上いる事業者は加入手続きが必要です。
(ア)31日以上引続き雇用されることが見込まれる
(イ)1週間の所定労働時間が20時間以上である
※法人の役員や個人事業主は加入しません。
エ.その他
個々の制度の詳細は、年金事務所、健康保険組合、国民健康保険組合、ハローワークに確認してみてください。
※埼玉県の年金事務所(健康保険・厚生年金保険)、ハローワーク(雇用保険)の問い合わせ先は、「建設業許可申請・届出の手引き(埼玉県・最新版)」のP12に掲載されています。
以上5項目6項目が、一般建設業の許可取得の要件の詳細になります。
プラス『社会保険の加入』が2020年の10月から加わります、ご注意下さい!