回送運行許可(ディーラーナンバー)とは

 

.「回送運行許可(ディラーナンバー)」とはなにか?からです。
最初はちょっと堅苦しくなりますが、「道路運送車両法」という法律の第36条の2の1項に下記のように規定されています。
第三十六条の二 自動車の回送を業とする者で地方運輸局長の許可を受けたものが、その業務として回送する自動車(以下「回送自動車」という。)で、次に掲げる要件を満たすものを、当該許可の有効期間内に、当該回送運行許可証に記載された目的に従つて運行の用に供するときは、第四条、第十九条、第五十八条第一項及び第六十六条第一項の規定は、当該自動車について適用しない。
 回送運行許可番号標を国土交通省令で定める位置に、かつ、被覆しないことその他当該回送運行許可番号標に記載された番号の識別に支障が生じないものとして国土交通省令で定める方法により表示していること。
 回送運行許可証を備え付けていること。

 

簡単に言っちゃいますと、「要件を満たして許可を受けた業者であれば、有効なナンバーがなくても公道を走っていいですよ」ということです。この許可のことを「回送運行許可(ディーラーナンバー)」といいます。

 

ここで皆さんが良く勘違いするのが、仮ナンバーなんですが次にこの2つの違いをまとめてみましょう!

 

.「回送運行許可(ディーラーナンバー)」「仮ナンバー(臨時運行許可)」との違い
(1)ナンバープレートが違います!

ディーラーナンバーと仮ナンバー

「回送運行許可(ディーラーナンバー)」は赤枠ですが、「仮ナンバー(臨時運行許可)」は赤の斜線(+自治体名)が入っています。

 

(2)管轄が違います!
「回送運行許可(ディーラーナンバー)」:運輸支局
「仮ナンバー(臨時運行許可)」:市町村

 

(3)申請できる者が違います!
「仮ナンバー(臨時運行許可)」は誰でも出来ますが、「回送運行許可(ディーラーナンバー)」は後述しますが法律に定められた4業種のみです

 

(4)使用できる目的が違います!
「回送運行許可(ディーラーナンバー)」は、業務に必要な車両の回送が目的で、運行経路などの指定がなく、業務のために車両を動かすことが可能です。
一方「仮ナンバー(臨時運行許可)」は、車検切れの車両を陸運局や整備工場へ運搬することのみを目的としています、したがって申請した運行経路・目的・期間以外は使用できません。

 

(5)有効期限が違います!
「回送運行許可(ディーラーナンバー)」は最長5年間なのに対して、「仮ナンバー(臨時運行許可)」は最長5日間です。

 

(6)対象の車両が違います!
「回送運行許可(ディーラーナンバー)」は何台にでも使用できますが、「仮ナンバー(臨時運行許可)」は申請した車両にしか使用できません。

 

以上のように「仮ナンバー」はあくまでも「臨時」に車両を運行するときに使われるものなのです

「回送運送業許可(ディーラーナンバー)」を取得するには!

1.「回送運行許可(ディーラーナンバー)」を取得できる業種とその利用範囲!
「ディラーナンバー」を取得できるのは、「販売を業とする者」・「分解整備を業とする者」・「陸送を業とする者」・「製作を業とする者」4業種に限られています、その利用範囲は次の様です。
@販売の場合
営業所と仕入先との移動や、販売した車両の納品先への移動、或いは展示場への移動や陸運支局間の移動等に使用できます。
A分解整備の場合
車検のために、自ら分解整備しようとする車両の引取りや、分解整備した車両の引渡し、車検場までの移動等で使われます。
B陸送の場合
陸送会社が、依頼者からAからBへ移動を依頼された場合は、AからBへの移動に使用できます。
C製作(架装)の場合
自ら製作・架装した車両を、工場からコースまで運んだり、製作車両を依頼主のところまで運んだり、工場から自動車置場まで運ぶ等に使用されます。

 

2.「回送運行許可(ディーラーナンバー)許可基準!
ここでは、関東運輸局管内の許可取得の条件を見ていきます、許可取得にはこの条件を満たす必要があります。

 

(1)販売を業とする者
・月平均の販売実績が12両以上であること。ただし、大型自動車及び輸入自動車の販売実績は1両を2両分として計算できます。
 注1.1両未満は1両に切り上げます。
 注2.大型自動車とは、車両総重量8,000s以上のもの、最大積載量5,000s以上のもの、又は乗車定員30人以上のもととします。
 注3.輸入自動車とは、外国において製作された自動車をいいます。
つまり、申請を行う直前3ヶ月で月平均12両以上の販売実績があることが必要です。

 

(2)分解整備を業とする者
車検のために自ら分解整備した自動車の台数が許可申請を行った日の直前1年間の法第35条の臨時運行許可に基づく運行実績が7台以上あること(2回目以降の許可の場合は許可申請を行った日の直前1年間の回送運行許可に基づく回送運行実績が7台以上あること)
つまり、「分解整備を業とする者」が「回送運行許可」を初めて取得するには、許可申請を行う直前1年間の間に、「臨時運行許可(仮ナンバー)」に基づいた運行実績が7台以上なければならないということになります!

 

(3)陸送をする場合
@陸送を業とする者
・制作又は販売を業とする者と回送委託契約(再委託を含む)を締結していること
・回送自動車の運行管理について、自ら責任を負う者であること
・回送委託契約の期間が1年以上継続されていること
・回送業に従事している運転者の数が常備10人以上であること
 注1.運転者の数は、改装業務以外の業務(番号票を使用しない陸送を含む)を兼務している者については、その業務量により按分いて算出した実人員の合計です
 注2.雇用保険、社会保険に加入していること

 

A運送事業であって陸送を業とする者
・制作又は販売を業とする者と回送委託契約(再委託を含む)を締結していること
・回送自動車の運行管理について、自ら責任を負う者であること
・回送委託契約の期間が1年以上継続されていること
・回送業務に従事する運転者及び積載車を有すること

 

B港湾荷役に伴う陸送を業とする者
・制作又は販売を業とする者と回送委託契約(再委託を含む)を締結していること
・回送自動車の運行管理について、自ら責任を負う者であること
・回送委託契約の期間が1年以上継続されていること
・回送がモータープールから埠頭の区間又は埠頭内において行われるものであること

 

(4)制作を業とする者
・月平均の制作実績が10両以上であること
 注:1両未満は1両に切り上げる
つまり、申請を行う直前3ヶ月における月平均が10両以上の制作実績があることが必要です。

「回送運行許可(ディーラーナンバー)」の番号標貸与基準

1.番号標貸与基準
以下は、関東陸運局管内の「番号票貸与基準」になります。

 

(1)販売を業とする場合

【1ヶ月の平均販売車両数をAとします】 【番号標貸与組数はBです】
12両まで B≦2組
13両以上50両まで B≦2+(A−12)÷6
51両以上100両まで B≦9+(A−50)÷8
101両以上300両まで B≦16+(A−100)÷10
301両以上1000両まで B≦36+(A−300)÷30
1001両以上 B≦60+7(A−1000)÷60

 

1.貸与組数が小数点以下となった場合は切り上げます。
2.大型自動車及び輸入自動車の販売実績は1両を2両分として計算します。
例えば、1ヶ月の平均販売台数が30台の場合は、2+(30−12)÷6=5ですので「番号標」は5組貸与されます。
180台の場合は、16+(180−100)÷10=24ですので24組貸与されます。

 

(2)分解整備を業とする者
営業所ごとに車検のために自ら分解整備した自動車の台数が交付(貸与)申請を行った日の直前1年間の法第35条の臨時運行許可に基づく運行実績が7台以上(2回目以降の許可の場合は交付[許可]申請を行った日の直前1年間の回送運行の許可に基づく回送運行実績が7台以上)である場合、1組が貸与されます。

 

(3)陸送を業とする者
回送運行業許可証業務に従事する運転者1人に対し1組、及び積載車を有している場合には、積載車1両に対して1組を限度として番号票が貸与されます。

 

(4)製作(架装)を業とする者

1ヶ月の平均制作車両数とします 番号標貸与組数はBです
10両まで B≦2組
11両以上50両まで B≦2+(A−10)÷10
51両以上100両まで B≦6+(A−50)÷20
101両以上 B≦9+(A−100)÷50

注:貸与組数が小数点以下となった場合は切り上げます。
例えば、1ヶ月の平均制作車両数が10両の場合は、「番号標」は2組貸与されます。
30両の場合は、2+(30−10)÷10=4ですので4組貸与されます。
75両の場合は、6+(75−50)÷20=7.25ですので、切り上げて8組貸与されることになります。

「回送運行許可(ディーラーナンバー)」を取得するメリット!

◆「回送運行許可(ディーラーナンバー)を取得した場合のメリット!
具体例の方がわかりやすいと思いますので下記の[仮の事例]に基づいてみていきましょう。
[仮の事例]
戸田市で整備工場をしているBさんは、車検切れの車両を整備工場から陸運局まで運ばなければならないことが良くあります。Bさんが「回送運行許可」を持っていなかった場合、考えられる運送手段は下記のようなものになります。
@市町村から臨時運行許可(仮ナンバー)を借り受ける
A自社の積車で運ぶ
B陸送業者に依頼する

 

では、どれくらいの手間とお金が借るのでしょうか

 

@市町村から臨時運行許可(仮ナンバー)を借り受ける場合
戸田市の場合は、まず下記の書類が必要になります。
・自動車賠償責任保険(共済)証明書(ただし、臨時運行期間がすべて含まれているもの)
・自動車を確認するための書面(写しを含む)自動車検査証、限定自動車検査証、抹消登録証明書、自動車検査証返納証明書、通関証明書(完成検査終了証、排出ガス検査終了証、輸入車特別取扱自動車届出済証を含む)、完成検査終了証(型式指定自動車の新車)、メーカー発行の譲渡証明書、または製作証明書(型式指定自動車以外の新車)、その他自動車の同一性を確認できる書面(登録事項等証明書)
・本人確認書類(個人申請の場合)(運転免許証、在留カード、特別永住者証明書、住民基本台帳カード、健康保険証等)
・社判もしくは代表者の印(法人申請の場合)
必要書類だけで結構ありますね!
その他に手数料として、1台750円、自賠責保険料が5日間で5,100円かかります。
仮にBさんの工場で、月間に3台あったとしたら、年間で
手数料:750円×36台=27,000円
自賠責保険料:5,100円×36台=183,600円
合計210,600円と上記の書類を集める手間がかかります。

 

A自社の積車で運ぶ場合
Bさんが積車を持っていれば手間もお金もそんなにかからないでしょう、仮になかった場合、中古でも積車(ローダー)は数百万円はするのではないでしょうか、それに維持費や駐車スペースを考えなくてはなりません、利用頻度を考えるとなかなか買うまでは難しいかもしれませんね!

 

B陸送業者に依頼する場合
陸送業者に輸送を依頼すると1台10,000円前後というところでしょうか、Bさんが年間36台利用した場合は
10,000×36台=360,000円程かかることになります。

 

【回送運行許可(ディーラーナンバー)取得にはいくらかかるでしょう!】
「回送運行業許可」取得にかかる金額は、申請時に任意で設定する有効期限により変わってきます(有効期限は最長5年まで設定できます)。
かかる費用は「回送運行許可証の交付手数料」「自賠責保険の加入保険料」の2つです、自賠責保険は車両ではなくて「ディーラーナンバー(番号標)」に対して加入するものです(1組の回送ナンバーに対して1口の自賠責保険に加入ということです)、この自賠責保険の証券がなければディラーナンバー(番号標)の貸与は受けられないのです。

 

ではここで、1組のディラーナンバー(番号標)を5年間貸与した場合の取得金額を算出してみましょう。
@回送運行許可書の交付手数料
ディラーナンバー(番号標)1組で1ヶ月、2,050円です。
5年(60ヶ月)で、2,050円×60ヶ月=123,000円
A自賠責保険の加入保険料(2020年12月現在の保険料です)
商品自動車(軽・2輪・特殊車両以外の車両です)の1年間の自賠責保険料が10,620円、5年間で53,100です。

 

したがって、ディラーナンバー(番号標)を1組5年間貸与した場合は
123,000円(回送運行許可書の交付手数料)+53,100円(自賠責保険料)=176,100円 になります。

 

この手続きをご自身でされれば以上の金額になりますが、申請には、必要書類の作成・申請の提出・受領と時間と労力がかかります、これを私たち行政書士が代理で行うことができます、もちろん報酬はかかりますが…、報酬は100,000円ほど(作成・提出・受領)です。これを含めて計算しても、
176,100円(交付手数料+自賠責保険料)+100,000円(行政書士報酬)=276,100円 になります。
1年当たりは、276,100÷5年=55,220円 です。

 

臨時運行許可を借り受けたり、陸送業者に依頼する手間や金額と比較しても、この「回送運行許可(ディーラーナンバー)」の制度を利用した方が良いと思います、この制度を利用することで業務効率もアップするのではないでしょうか!

 

一つ「回送運行許可(ディーラーナンバー)」取得時の注意点ですが、この回送運行許可自体の有効期限は5年を超えることができません。そして、有効期限の終期日は11月30日と決められています。例えば、平成26年の8月1日に5年間の許可がおりた場合、次回の回送運行許可の更新は平成30年11月30日となります。

 

「回送運行許可証」とは番号標に付いて交付される証明書のことです。回送運行を行う場合は車内に搭載する必要があります。
「番号標」と「許可証」の有効期限は上記した様に有効期限は最長5年で、終期日は両方とも11月30日となりますので注意が必要ですよ!

 

◆『中村まさひこ事務所』にご依頼いただいた場合、
ディラーナンバー1組を5年間貸与した場合のお見積りになります。

ディラーナンバー交付手数料
1組1ヶ月 2,050円

自賠責保険料
1組1年間 10,620円

事務所報酬
(税込)

合計

2,050円×60ヶ月

123,000円

10,620円×5年

53,100円

88,000円 264,100円

※ディラーナンバーの組数が増えても事務所報酬は変わりません。
※当事務所は、書類の作成・提出・受領までのフルサポートをさせて頂いております、お客さまは申請のお時間仕事に専念していただけます。

 

 

今までこの「回送運行許可(ディーラーナンバー)」のことを知っていても「許可の条件」、「申請書類の作成」等々ハードルが高いと思ってあきらめていた方もいらっしゃったと思います。一度この「戸田市の行政書士・まさ」にご相談してみてください、あなたの今の状況をお聞きして、あなたと一緒に問題を解決して、許可取得を目指していきましょう!お気軽にご相談ください「まさ」は気さくな行政書士です!